「おい、白…。」
再不斬は背後の白に声をかける。
気配だけで、白がびくりと肩を震わせたのが解り、再不斬は腕を組み振り返った。
「どういうつもりだ…?」
「すみません…、再不斬さん。」
ちいさなお団子頭をぺこりと勢いよく下げ、白は謝罪する。
再不斬は口をへの字に曲げ、眉間の皺を深くした。
こう謝られては、これ以上言葉を荒げることができないと再不斬は小さく舌打ちをする。
もちろん、白はそんな再不斬の心情など知らずに、頭を下げたまま謝罪の言葉を続ける。
「本当にすみません、再不斬さん。暗部服を全て洗濯してしまって…。」
ぎゅっと白は目を閉じる。
久しぶりに天気が良く、白は再不斬の暗部服を誤って全て洗濯してしまったのだ。
今の再不斬はトレーニングをしていたため、上半身は裸で肩にタオルをかけ、下半身は裾がゴムタイプの黒のハーフパンツを身に付けていた。
「これで戦闘はさすがに格好がつかんぞ…。」
口布はワンセット洗わずに残っていたのだが、再不斬は少々困った表情を浮かべた。
「再不斬さん…?」
先ほど、冥頭と業頭から新たな忍が波の国に入ったとの連絡を受けたと、白からの報告を受けた再不斬は戦闘の身支度を始めたのだ。
「あの二人で十分では?」
下忍のような少年たちとその教官の4人との連絡だったので、白は彼が出撃をする必要性はないのではないかと首を傾げる。
「さあ、どうだかな…。」
そんな白を無視して再不斬はごそごそと荷物の中から長めの牛柄のアームカバーなどを取り出すと、さっさと身支度を整える。
「お前の趣味はイマイチ分からんな…。」
この前の街で白が買ってきた薄青色のボタン付きのズボンを身に付けそれをサスペンダーで留めながら再不斬はため息をつき、上半身に身に付けるものはないので、腕にアームカバーを通し始める。
いまいち気分の乗らない再不斬とは対象に白はハイテンションになっていった。
「ざ、再不斬さん!素敵です!!」
反省してんのかよコイツと再不斬は呆れた表情で白を見下ろす。
白はきらきらと大きな瞳を輝かせ、頭の先から足の先まで舐めるように再不斬を見つめる。
ぞわっと再不斬の背筋に悪寒が走る。
「あぁ…僕の見立ては間違っていなかった…!再不斬さんの綺麗な身体が引き立てられている!」
その辺の同年代の女子の様にきゃーっと大喜びしている白に、再不斬は冷ややかな視線を送るが、気付いていないようだった。
「俺はどこで育て方を間違えたんだ…。」
右手で額を抑えながら再不斬はがっくりと頭を垂れる。
白はそんな彼に気付くことなく、ウキウキとアームカバーと同じ模様のレッグカバーのついたサンダルを再不斬の足元に用意する。
再不斬は盛大にため息を付きながら片足を上げると、白はそれを履かせ始めた。
「ふふ…今日は僕も一緒に行っていいですよね?」
もう片方の足にレッグカバーを通し、そっと再不斬のふくらはぎから手を放しながら白は訊く。
「…あぁ、好きにしろ。」
そう短く答えると、再不斬は立ち上がり首切り包丁を担ぐ。
来るなと言っても聞くような奴ではないと考えながら。
「それでは、お供させていただきます。」
にこりと白は微笑むと再不斬の後ろに立つ。
再不斬は目を閉じ、その姿を消すと、白もその場から消えた。
部屋には静寂が訪れた。
イラストを描いてて思いついたお話。
白も失敗するんだろーなーとくだらない事を考えてました。何
再不斬さんって白以外はコテンパンに怒りそうですよね。
「あぁん?何だって?もう一度言ってみろや、ワレ、コラ、ボケカス!」って。
白はちゃんと謝罪するし、次は失敗しないので、特に怒らないと思います。
[3回]
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