再不斬さん特攻前の独白。
pixivに上げた「卒業試験で皆殺し」に出てくるオリキャラが出てます。
そして再不斬さんが善人。

「もう、お前たちのために戦えねえ。」
　背後に感じる数百の視線に、俺は言葉を投げかける。
　思えば自分勝手な生き方だったな…。
　理想だなんだと言いながら、結局のところ何も変えられねえ。
　何も救えねえ。
　何も手に入らねえ。
　奪うばかりで、何も残らねえ。
「最後に、あいつのために…戦いてえんだ…。」
　流れ出た暖かな血。
　あいつの温もりが…この肌から消える前に…。
　この体が動くうちに…。
　ただ、あいつのためだけに。
「もう、いいよ。再不斬。」
　懐かしい声が背後から投げられる。
　夢にも現れなかったアイツだ。
　何年かぶりに聞いた声に、俺は顔を上げる。
「あの子に為に戦って。」
　小さな手が背を押す。
　その感触に、俺は目を閉じてフッと笑った。
　思えば、俺もデカくなったもんだ。
　中身は…何も変わっちゃいないがな。
「今まで、ありがとう…。」
　すっとすべての視線が消えた。
　悪かったな、俺はあの里を…変えることはできなかった。
　お前らのためにも、あいつのためにも…どうにかしてやりたかったんだがな…。
　求められているものは、力ではなかった。
　今は…あの女がどうにかしてくれてるだろう。
　いずれ…皆が笑っている里に。
「…小僧、クナイを貸せ。」
　口布を噛み切る。
　この体で自由がきく場所を全て使う。
　これで、最後だ…。
　お前が俺に命をくれたように、俺もお前に命をやろう。


「もう…さよならだよ、白。
　今までありがとう、悪かったなぁ…。」

[2回]