ご臨終前の最後の一枚。

以下妄想。
※ちょっとグロいです。
「桃地くーん。」
「分かってます…うおおお!」
栗霰さんが一纏めにした敵を、再不斬さんが首切り包丁で一刀両断します。
ぐしゃりと血しぶきがあがり、割れた肉団子が一つ、ごろりと転がりました。
「あー、へへへ…流石だねえ、グロいグロい。」
乾いた笑いを上げて、栗霰さん縫い針でとんとんと肩を叩きました。
完全にビビってしまった敵を見下ろします。
グジュグジュと首切り包丁の刃こぼれを直すために、身をかがめて死体を抉っていた再不斬さんは姿勢を正しました。
口布が歪み、凶悪な笑みが浮かびます。
「つまんねぇなあ、おい。この程度か?あぁ?」
再不斬さんが首切り包丁の切っ先を、敵に向けます。
ぎらぎらと光る目は、鬼人の名に相応しいものでした。
「本当に、詰まらねー。ちゃっちゃと片付けるか…。」
仮面の下で小さく笑うと栗霰さんは、ぎゅっと縫い針と糸を握ります。
「それじゃ、死ね。」
「おかえりなさい、再不斬さん。お疲れ様です、栗霰さん。」
明け方前。
暗部の本部前で、ちょうど任務を終えた白が再不斬さんと栗霰さんに挨拶しました。
「あら、今回は結構血の匂いがするわねえ。」
白の隣に立っていた林檎さんが二人を見て笑います。
今回、白と林檎さんは二人で任務に就いていました。
「林檎さん!」
カポッと栗霰さんは仮面を外して、林檎さんに走り寄ります。
仮面の下からは想像もつかなかった美しい男性の顔が現れました。
ぎゅっと小さな林檎さんの手を、栗霰さんのほっそりとした手が包みます。
「怪我はない?敵に変なことされなかった?」
林檎さんは両目を見開き、一瞬呆気にとられましたが、あははと笑い出します。
白はびっくりして、再不斬さんの後ろに隠れてしまいました。
「あんた、相変わらず面白いわねぇ。面を取ると性格変わりすぎ!」
ころころと笑う林檎さんに、栗霰さんはぽりぽりと頭を掻きました。
「だって…心配なんですもん。」
栗霰さんのあまりの豹変ぶりに、白は不安げな表情を浮かべて再不斬さんの隣に立つと、その顔を見上げます。
「白よ、栗霰さんは面を付けると性格が変わる。覚えておけ。」
再不斬さんはそう言うと白の頭をぽんぽんと撫でました。
白はにこりと微笑み、再不斬さんを見上げます。
「成る程。その気持ち…分かりますよ。」
ふふっと笑って白は言葉を続けます。
「面をつけると、凄く冷酷な気持ちになれるんですよね。」
美しい笑みを浮かべながら、白は懐から面を取り出して見つめます。
細い目、炎のような模様。
白はくすっと小さく笑うと、再不斬さんを見上げます。
「それにしても、激しいですね。栗霰さんのアピール。」
目の前の光景に、白は苦笑いを浮かべました。
栗霰さんは誰がどう見ても、林檎さんに好意がありまくりなのですが、林檎さんは全然意に介していません。
白は何となく栗霰さんと自分が重なって見えてきました。
「何シケたツラしてんだよ。」
身をかがめて再不斬さんが自分の表情を窺っていることに気づいた白は、素っ頓狂な悲鳴を上げました。
「ひゃあっ!!」
一歩後ずさり、真っ赤な顔になった白を見下ろし、再不斬さんは首を傾げます。
白はわたわたと顔の前で手を振ります。
「ななな、なんでもないです!!」
再不斬さんは片眉を上げ、釈然としない表情を浮かべながら姿勢を正して、栗霰さんと林檎さんを一瞥すると、白の腕を掴んで本部の正面玄関へ向かいます。
「あ、再不斬さん…。」
腕を引っ張られて、からからと下駄を鳴らしながら、白は再不斬さんに声をかけます。
再不斬さんはそのまま歩きながら答えます。
「放っておけ。一時間はああしてる。」
これが初めてではないのでしょう。
再不斬さんは盛大にため息をつきました。
「あれだけ鈍感なら幸せなもんだな。」
白は苦笑いを浮かべて、「それはあなたも一緒ですよ」と思いました。
正面玄関前に着くと、再不斬さんはぱっと手を離して、白を見下ろしました。
「お前の気持ち…いつか答えてやるよ。」
ボンと音がなりそうなほど、白は顔を真っ赤にして再不斬さんを見上げました。
再不斬さんはニヤリと笑うと正面玄関に入っていきます。
白はその後姿を見て、はっとするとペチペチと両手で頬を叩きました。
そして、ふうと一つ息を吐いて気合を入れてから、正面玄関へ入るのでした。
なんじゃこりゃ。
白と栗霰さん、林檎さんと再不斬さんを似たもの同士にしてみました。
戦闘スタイル的にもこうなのかなーと思ったのがきっかけです(イラスト参)。
林檎さんよりも、再不斬さんの方が人の感情を察することができると思うので、白の気持ちなんてお見通しだよーと思うんですがいかがだったでしょうか?
[1回]
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