白が負傷して、再不斬さんが抜け忍をオーバーキルしてます。

「再不斬さん、危ない！」
　白は地面を蹴り、再不斬さんの前に飛び出します。
　びゅっと抜け忍のくないが白の二の腕を掠めます。
　追い忍部隊が人員不足となったために、白は再不斬さんと組んで、今回の抜け忍狩りを遂行していました。
「くっ！」
　白は顔を少し顰め、キッと今回の獲物の抜け忍を睨みつけます。
　すると、再不斬さんが無言で白の首根っこを掴んで後方に投げました。
　その反動を利用して再不斬さんは抜け忍に近づき、首切り包丁の間合いに入ると、その首を跳ね飛ばしました。
　白は体制を立て直し、地面に片膝をついて着地します。
　顔を上げると、再不斬さんが首を撥ねた抜け忍の胴体に近づいていました。
　辺りには他に5体ほどの死体が転がっていますが、再不斬さんはそれらには目もくれず、首のない死体の前に立ちます。
　そして無言で首切り包丁で何度も切リつけ始めました。
　白は腕を抑え、呆然とその光景を見つめます。
　首切り包丁の刃毀れを直していのかと白は目を凝らしましたが、刃毀れはしておらず、明らかに過剰攻撃でした。
　よろりと白は立ち上がると、再不斬さんまで瞬時に駆けます。
「再不斬さん。」
　そっと白は再不斬さんの腕に手を添えます。
　血走った目の再不斬さんと視線が合いました。
　その目は…怒りに満ちていました。
　普通の忍びなら怯みそうなその視線にも負けず、白は顔に大粒の汗をかきながら微笑みました。
「もう、死んでます。」
　ふっと再不斬さんが腕の力を抜いたので、白は手を離しました。
　再不斬さんは白の方へ向き直り、首切り包丁を背負います。
　白を見下ろすその目はいつもの色に戻っていました。
「馬鹿が、何やってる。」
　再不斬さんは白の細い腕を掴んで傷を確認します。
　白が汗をかいているのは、くないに塗られた毒が原因のようでした。
　びっと再不斬さんは白の袖の一部を千切り、身をかがめて傷に口付けます。
「んっ！」
　ぢゅっと強く傷を吸われ、白は声を上げて顔を顰めました。
　ぺっと再不斬さんは吸いだした血を吐き出します。
「最近、耐性のつけた毒だな…。」
　口内の苦味に、再不斬さんは白が先日耐性をつけた毒であることに気付きます。
　敵は、再不斬さんを守るために、白が飛び込んでくることを読んでいたのでしょう。
　しかし、白が耐性をつけていることは知らない事が幸いしました。
　もう一度、再不斬さんは傷口に口付け、血を吸い出します。
　白はその光景を見つめます。
「お前より…俺は耐性があるんだ。」
　上目遣いで自分を見て話しかける再不斬さんに、白は困ったように笑いました。
　ぺっと再不斬さんは血を地面に吐き捨てると、口布を解きます。
「余計な真似をするな。」
　白の腕に、再不斬さんは自分の口布を巻き付けます。
　衛生的には問題がありますが、そのまま傷を晒しているよりは幾分ましと判断したようです。
「すみません。でも…。」
　白は口布の巻かれた腕を擦りながら、再不斬さんを見上げます。
　普段見えない唇をへの字に曲げて、再不斬さんは白を見下ろします。
「再不斬さんの…キレーな身体に、傷をつけたくなかったんです…。」
　再不斬さんはふうとため息を付き、白を見下ろしました。
　頬を少し赤く染めて、自分を見上げています。
「理由はなんであれ、道具が余計な真似をするな。」
　白はこくりと頷くと、人ならば心を揺さぶられるような笑みを、美しいその顔に浮かべました。
　再不斬さんはフッと唇の片方を上げて笑い、白の頭を撫でました。
「さっさと鳥を呼べ。」
「はい。」
　白は胸元から笛を取り出すと、一吹きします。
　ピィーッという音に反応して、頭上にワシが集まります。
　ワシ達は血の匂いに反応して地面に降り立つと、死体を啄み始めます。
　訓練されているせいか、ワシ達は硬い骨も砕いて啄み、全てが無に帰りました。
　再不斬さんと白はその光景を二人で見届けると、その場を後にしました。
　辺りは何事もなかったかのように、静かな夜に包まれるのでした。



白が他人に怪我させられたら、再不斬さんブチ切れるだろうなあと思って書いてたらこんなん出来ました。
「オーバーキルですよ、再不斬さん」って白に言わせられて満足です！アホ
鳥葬はもっと細かく書こうとしたらグロさしか残らなかったので消しました。
白は追い忍ですが、再不斬さんは何が専門だったんでしょうね？
拷問とか？
とても楽しそうな再不斬さんが思い浮かんだ…。←
それとも忍び刀七人衆が霧の暗部の一部隊にあったんですかね？
そう考えると超精鋭部隊に所属してますね、再不斬さん。

[2回]