アカデミーって参観日あるのかしら？と思って妄想しました。

白「再不斬さん、明日、お忙しいですか？」
夕食後、食器を運びながら、シンクの前に立つ再不斬さんに白は訊ねます。
泡々のスポンジを持ったまま、再不斬さんはシンクの中に食器を下ろす白の頭を見下ろします。
再「何かあるのか？」
白はこくりと頷きました。
再不斬さんはじっと白を見下ろします。
白「明日…参観日なんです。」
再不斬さんは目を伏せ、申し訳なさそうにしている白を見つめます。
再「…任務がある。」
白はにこりと顔を上げ微笑みました。
しかし、再不斬さんは白が残念がっていることが直ぐに分かりました。
少しの間、二人は見つめ合います。
白が口を開きます。
白「再不斬さん、任務、お気をつけて。」
再「あぁ。」
再不斬さんは短く返事をすると、シンクの中の食器を洗い始めました。
白はお風呂の湯を溜めるために浴室に向かいました。
その夜も二人はいつもの様に一緒にお風呂に入り、同じベッドに入って眠りました。

「あの、桃地さん…。」
再「うるせえ黙れ。」
再不斬さんは木陰からじっと前方を見つめています。
「あの、もっと前で見ていいんですよ？」
再不斬さんに話しかけているのはアカデミーの教官です。
再不斬さんは速攻で任務を片付けて、白の授業を見に来ていたのでした。
再「うるせえ。」
ぎろりと再不斬さんは教官を睨みつけます。
教官は顔に笑顔を貼り付けて、だらだらと汗を流しながら後ずさります。
流石鬼人。
滅茶苦茶怖いです。
再不斬さんはそんな教官を見て舌打ちし、また前方を見つめます。
ちょうど白が手裏剣を投げるところでした。
「じゃあ、次、白。」
白「はい。」
白は立ち上がると、手裏剣を両手に持ちます。
ふっと馴染みのある気が感じられて、白は西側の木陰をちらりと窺います。
なんとそこには再不斬さんが居るではありませんか。
木陰から辺りを窺うその姿は、一般人が見たら卒倒しそうな程怖いです。
白『再不斬さん！』
白の表情がぱあっと明るくなります。
白は一般人ではないので、全然怖くありません。
むしろ飛び上がりそうな程、嬉しいくらいです。
白『来てくれたんだ！…頑張らなきゃ。』
白は腰を落とすと遥か前方の的を見つめます。
「白、もっと前に出てもいい…。」
教官の声を遮る様に、ひゅっと音がして、的の真ん中に手裏剣が刺さります。
教官は呆然と前方を見つめます。
一緒にいた生徒たちも呆然と前方を見つめました。
白はちらりと再不斬さんを窺います。
的を見て、にやりと笑っていました。
しつこいようですが、その笑顔は一般人が見たら卒倒しそうな程怖いです。
白はふふっとほほ笑みます。
白『良かった、再不斬さんが喜んでくれてる。』
白は誇らしげに列の後ろに腰を下ろしました。
教官と他の生徒はそんな白を呆然と見つめたまま固まっています。
再不斬さんはふっと笑うとその場から消えました。

白は授業が終わると急いで忍び専用の官舎に戻りました。
白「ただ今戻りました！」
いつもより勢いよく、白は玄関の扉を開けました。
再不斬さんが温かい蒸しタオルを持って現れます。
再「おかえり。」
白は深呼吸をして呼吸を整えるとほほ笑みました。
再不斬さんが差し出したタオルを受け取ります。
白「ありがとうございます。」
白は足を綺麗に拭くと玄関に上がりました。
白「僕、今日実技で一番取ったんですよ。」
再「あぁ、知ってる。」
白はふふっと笑って台所の椅子に荷物を置くと、再不斬さんの隣を通り過ぎ、シンクでうがいと手洗いをします。
再「俺が来たからといって、実力を見せびらかすな。」
再不斬さんはそう注意しながらも、嬉しそうです。
白は手を拭きながら、にこにこと再不斬さんを見上げます。
白「ふふ、僕はまだ子供ですから。」
再不斬さんはふんと鼻を鳴らすと、白の頭をわしわしと撫でました。
白は嬉しそうに再不斬さんを見上げました。


再不斬さん保護者シリーズ。笑
白は普段力をセーブしてますが、再不斬さんが来てくれたら実力出して周りを引かせそうです。
そして可哀そうな教官たち。←
保護者は滅茶苦茶怖いし、生徒は自分より実力あるって…やり辛いこと、この上ない…。

[3回]