白が千本使ってるの見て、縫い針似合うだろうなーっと。

保護者大激怒&謝罪に(菓子折り書き忘れた)

「本当にスミマセン。」
再不斬さんは、栗霰さんに縫い針を返すと菓子折りを差し出します。
栗霰さんはええーっと片手を振ります。
「イヤイヤ、白くんに貸したのは本当だから。」
「いえ…本当にすみません。」
栗霰さんは再不斬さんを仮面の下から見下ろします。
律儀だなーこの子と思いながら、差し出された菓子折りを受け取りました。
「あのアホ、忍刀七人衆にとってどれほど刀が大事か分かってないんですよ。」
ふーんと、栗霰さんは受け取った菓子折りの中身…お饅頭一つつまむと、器用に仮面の下に放り込みます。
この子、見た目に反して真面目だなーと思いながら。
「あ、これ美味しいね。どこのお店?」
縫い針を背負って、包み紙を見つめます。
馴染みのない店名です。
「里に新しくできた店のです。あいつが好きなもん…で…。」
そう言うと、カーッと再不斬さんは顔を赤くして俯きました。
栗霰さんはくすっと笑います。
なんだかんだ言って、あの少年が好きなんだねーと思いながら。
「そうか。なら今度甚八さんと行こうかな。甚八さん、この前、子供のことで奥さんと大喧嘩しちゃったんだってさ。」
あの人妻子持ちかよと、再不斬さんは驚いた表情を浮かべました。
栗霰さんは再不斬さんの反応を見て、くすっと笑うと口を開きました。
「桃地くん。」
声をかけられ再不斬さんは、栗霰さんを見上げます。
仮面の下の茶色の瞳と視線が合います。
「白くんね、ちゃん分かってるよ。」
再不斬さんはそう言われて、ふっと笑いました。
その目がお世辞を行ったりしているようには見えませんでした。
「ありがとうございます。」
一礼した再不斬さんの頭を見て、先輩に対して礼儀正しい子だよね、君みたいに…と栗霰さんは雪のような少年、白を思い浮かべました。
借りに来た時も、白は凄く申し訳なさそうに、ちゃんと忍刀がどのようなものであるのかも自分なりの解釈を述べてから、頭を下げてお願いしてきました。
こういう子に、この刀を託せたら良いのかもしれないなとちょっとだけ栗霰さんは思いました。
「あ、そうだ。里に良い食べ物屋さんない?」
急にそう問われて、再不斬さんは首を傾げました。
栗霰さんは小さく仮面の下で笑うと、言葉を続けます。
「林檎さんと食事の約束しちゃったんだよね。」
さらりとそう言われて、再不斬さんは再度驚いた表情を浮かべました。
それもそのはず、常に刺激を追い求める女…林檎さんが栗霰さんを誘ったのですから無理もありません。
まあ、忍刀七人衆の中では、見た目的に栗霰さんが一番刺激的かもしれませんが…。
「あ、なんなら一緒にどうかな?一人じゃ林檎さんを満足させてあげられないかも。」
こんな面白い青年と少年のセットが目の前にきたら、林檎さんも喜ぶだろうなと栗霰さんは思ったのです。
さらに、誘導尋問が得意な林檎さんが、二人がどんな関係か聴きだしてくれるかもしれないしねーとちょっと楽しんでいました。
「いえ、あの…。」
言い淀む再不斬さんを、栗霰さんは見下ろすととっておきの言葉を投げかけました。
「それで今回のことちゃらにしてあげるよ。」
ぐぬぬと律儀な部分を逆手にとられて、再不斬さんは唸りました。
そして苦虫を噛み潰した表情を浮かべると、渋々頷いたのでした。
-帰宅後-
「お前のせいでひどい目にあった。」
はあとため息をつきながら再不斬さんは白にコートを手渡しました。
「え?!すみません…。」
帰りの遅い再不斬さんを心配していた白は、その身体に怪我がないことを確認してほっとしているところにそんなことを言われて、しゅんとなってしまいました。
「今度の日曜、お前と一緒に、栗霰さんと林檎さんと飯食いに行く約束しちまった…。」
今度の日曜…白はコートをかけながらカレンダーを見詰めて、あぁと苦笑いを浮かべました。
その日は、再不斬さんが白を拾ってきた日で、毎年、同じ日本料理屋さんに食事に行っていました。
「いいじゃないですか。二人より、四人で食べたほうが美味しいですよ。」
白が気丈に振る舞っていると思っている再不斬さんは、ぽんぽんとその頭を撫でました。
再不斬さんに撫でられて白は嬉しくなってきました。
「うーん、でも女性と行くならイタリアンの方がいいですかね?」
白がどこで食事をするか悩み始めるのを見下ろしながら、再不斬さんは椅子に腰掛けます。
「分からん。お前が決めろ。」
再不斬さんの答えに白はにこっと笑うと、携帯電話でお店に電話をかけました。
その先がいつもの日本料理屋さんだったので、再不斬さんはふっと笑います。
「四名で予約入れましたよ。栗霰さんに連絡お願いします。」
「あぁ。」
隣りに座った白の頭をよしよしと再不斬さんは撫でました。
にこにこと白は微笑むと、再不斬さんを見つめます。
「お前、あの着物着て行けよ。」
「分かってますよ。」
この前、買ってもらった新緑の着物のことだと白は思い、即答しました。
再不斬さんはふっと笑うと、栗霰さんに電話をかけるのでした。
これまた長い!!
後日、四人でご飯を食べに行って根掘り葉掘り聞き出されて、再不斬さんはぐったりしてしまいます(白は平気)。
忍刀七人衆の中で一番若そう(若輩)な再不斬さんの受難は続く。笑
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